陰山ブログ

今年の目標

遅くなりましたが、今年初めての記事です。

今年もよろしくお願いします。昨年までは、教育再生会議に出ている関係もあり、情報発信をしすぎて、誤解を招くといけないので慎重にしていましたが、今年はしっかり情報発信したいと思っています。

今年は、現場での実践に新しい展開を付け加えて行きたいと思っています。

まず、立命館小学校では、新しい教材による新しい教育課程を始めます。内容の薄くなった教科書だけでは、グロ-バル化すべき教育内容としては不十分です。ですから、検定教科書への提案という意味で、陰山版教科書というべきものを、立命館小学校の先生と学研の協力を得て作りました。内容は、日本地理、日本歴史、小学校算数の三冊です。そして、立命館小学校の教材として活用していきます。

なぜ教科書かというと、音読で子どもを伸ばすという私の手法を生かすには、きちんと説明された教材が必要だと考えているからです。参考書は、必要事項をまとめていますが、それらのつながりの理解は、学習者の能力に委ねられています。しかし、基礎学習はそうした基礎的な理解が重要ですから、しっかり説明されている文章が必要なのです。私は、現場にいるとき、教科書の文章がまずいと思ったときは、重要事項をまとめて説明文を作り、それを音読させていました。欧米の教科書もたいへん分厚い本になっていますが、何度も読んでしっかり理解させることを目指しているからです。私は、欧米人が論理に強い理由は、しっかり読み込むためのこの教科書で学習していることが、ひとつの理由だと考えています。また、日本でもそう考える方も多く、最近は何種類かの検定外教科書が話題になっていますが、それはそういう理由ではないかと思います。

この教材の次の意味は、新しい指導要領への接続ということです。新しい指導要領では、復活する教材や新しく入る教材が多くありますが、それが実際に学校で指導されるようになるのは3年後です。私が心配しているのは、そうなると現在の小学校の高学年や中学の子どもたちは、学習内容の少ない教育課程で学習する最後の子どもたちとなり、実社会に出たときなどに不利になることも考えられます。文部科学省は、新しい教育課程をできるところから前倒して指導すると言っていますが、やはり十分なものにはなりにくいでしょう。

もうひとつ重要なことがあります。それは、中学入試の基礎づくり教材として使われることを意識したことです。中学入試については、私はふたつ心配していることがあります。それは、まず生活習慣を崩すような学習の仕方になってはいけないということ、難問が出てくるのは仕方ないにしても、そのための基礎基本の力と理解をしっかり身につけておいてほしいということです。現在では、指導要領が削られ過ぎているため、教科書の内容が完全に理解できていたとしても、高度な学習をしていくための基礎基本の力としては不十分です。そうした高度な学習をしていくための基礎の教材としても十分な内容になるよう、学研の担当者とも打ち合わせて作ってきました。

それぞれの本の、具体的な内容については、出版のときに解説しようと思います。