陰山ブログ

本当にやらなければいけないことを、きちんとピックアップする大切さ

陰山英男です。
皆様、本年もよろしくお願いいたします。

さて、徹底反復研究会の会員で、家庭教師として中学生を指導しておられる方から投稿をいただきました。

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中学生における徹底反復の計算の実践の成果がまた出てきました。
徹底反復の図形分野をきちんと見直し、図形や単位を確認してから中2の図形分野に取り組んだところ、一年のときは同分野で50点未満の生徒さんが、70点半ばに突入しました!

二年の一学期に20点未満を取らせてしまい、その生徒さんはどうしても計算を間違うとわかりました。
11~20になるすべてのくりあがりの足し算(35通り)と11~20の倍数をすべて確認し、計算の規則性がわかってきたことと、何よりも無数にあると感じていたものがたったこれだけだったと確認したことがよかったようです。
他にも中学生には、0~9+0~9、0~9+9~0、奇数+奇数、偶数+偶数、他同条件でかけ算など規則性を理解してもらうだけでも計算力がぐっとよくなる気がします。
かけ算を九九だけではなく二十の段まで知っていると、中学の数学,理科の計算はずいぶん楽になるように思います。
特に素数の段が重要です。13、17、19の含まれた倍数の割算など計算に時間がかかりがち。教材は徹底反復の計算と算数(いずれも小学6年分が一冊になったもの)を用いました。夏休み中に計算の基礎、小学生でやる単位や文章題をはじめから見直しをしました。
そこから数学の得点は倍々に増えて、二学期期末で70点以上を取り、一年同分野の約1、5倍でした。

私自身も百ます計算を小学生の時にやりました。直接お会いしたことはありませんが本を読み、岸本先生の「どの子も伸びる!」「伸びない子はいない」という言葉を支えに中学時代以降も基礎を重視した学習を心がけてきました。四半世紀を超えた今なお、徹底反復の実践の成果が出ることは素晴らしいと思います。
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子どもたちは、自分がいろんなところで落ちこぼれていると錯覚し、そう簡単に取り戻せないと諦めてしまいます。また、やるべきことが絞れていることは少なく、ただ努力と根性で頑張るという応援の仕方になってしまい、結果として、コンプレックスになることが多いのです。
しかし、本当にやらなければいけないことをきちんとピックアップしてみると、「たったこれだけ」と思え、頑張ることができます。
今回の事例のように、合理的に実践されることを絞られたのは素晴らしいことです。皆様も、基礎基本の大切さを改めて考えていただきたいと思います。