近年、わが国では、「子育てのつらさ」、「教育の難しさ」などが頻繁に取り上げられ、「教育はいかにあるべきか」が大きな課題となっています。強い子を育てるために、親はなにをすればいいのでしょうか?生活リズムを整え、「家庭力」を向上することで学力は向上します。学力の根本は生命力にあります。学力向上は、家庭での生活習慣が大きく影響するのです。
かつて、「ゆとり教育」の流れに抗して「読み書き計算」での徹底した反復学習と「早寝、早起き、朝御飯」の生活習慣確立の二つを柱にした実践を10年以上続けてきました。
鉄棒のできなかった子がぐるぐると回れるようになったり、国語の苦手だった子が難しい文章を暗記してしまう。計算の遅かった子がみるみるスピードを上げていく―。まさに子供達は無限の可能性を秘めており、10年以上にわたる実践の中でそれを目の当たりにしてきました。
陰山式学習法の本質は「子どもたちの可能性を伸ばすためには、なんでもする、何でも試みる」ということに尽きます。
すべて子どもたちが教えてくれました。百ます計算だって、上手く指導するコツをつかめば、子どもたちは飛躍的に伸びていきます。問題は、その時、伸びたら次にどうするか。教える側に次の一手がないと、子どもたちの成長はそこで止まってしまうのです。
’02年、文部科学省が導入した「ゆとり教育」は、教育現場にさまざまな問題を引き起こし、近年、子供たちの学力低下が著しくなっています。そのためか、文科省は「ゆとり教育」から一転、「学力強化」へ動きだしました。
しかし、子供のつまずきを放置したままでは、さらなる学力低下を招きかねません、「子供のつまずき克服は家庭での生活改善」が基本です。ひたすら目の前の子どもたちを見つめ、子どもたちと苦楽をともにすることです。
「翌日の時間割は自分でそろえさせる」
「食事のときはテレビを消す」
「机の上を親が片づけない」など、
かつてはどこの家庭でもあたりまえの「しつけ」だったようなことができていない家庭が多いように思います。
「習い事が多くても週3日を限度に」
「出張先から子供に電話をかける」
「運動会で我が子をビデオで追いかけ回さない」
「親子で週1回は図書館へ行く」
「『子供が一人でいる時間』をつくる」
「宿題は食卓でさせよう」
「リビングに図鑑を置こう」
どれもが、誰でも今すぐ実践できる簡単なことばかりで、その効果は、教師として父親としての体験から実証されたものばかりです。
我が子と存分に向き合える時間は意外に短く、しかも後から振り返れば家族の黄金期なのです。子どもはあっという間に親から離れていきます。今、わが子と向き合う大切さを再認識していただきたいと思います。
私自身、いま学校がとても楽しく、子供といる時間が充実しています。子供が何かできるようになったときに『やった』と笑う瞬間がありますが、この笑顔こそ私の喜びなのです。こうした教育に関わる喜びを、多くの教師や家庭がもう一度実感できれば、教育のあり方はまったく違ってくると思います。
KAGEYAMA CHANNEL
出版物・参考書籍をもっと見る >
TWITTERING
@Kageyama_hideoさんのツイートFaceBook