陰山ブログ

ケンブリッジ大学の高学力にある裏側

 今、イギリスにきています。
 昨日は、ケンブリッジ大学を訪問しました。皆さんもご存知の通り、世界トップレベルの大学です。そこの現地の人たちに、大変興味深い話を聞くことができました。
 イギリスは階級性が色濃い社会ですから、ケンブリッジ大学は、基本的には、進学できる人は限られているという社会的風土となっています。そういった偏った風土の中で、なぜ、世界トップレベルの学力を持つ大学であり続けているのでしょうか?
 それは、800年間の長きにわたって、“大学自体がケンブリッジの町をつくってきた”からです。その証拠として、勉学の妨げとなったり、美しい風景を乱すような、工場や建物をケンブリッジに建設することを規制しています。この規制は、個人宅も対象となっています。そして、学校の校舎はというと、中世の建物を使用しています。その古めかしい建物の中で、学生たちは寝起きをして、勉学に励んでいます。
 このように、学校内外の美しい風景を一番大事にしています。実際私が見たケンブリッジは、どこまでも美しい風景が続いていました。
 ひとつ不思議だったのは、そうした特権を温存するようなことで社会的な不満は爆発しないかということです。何年か前はいろいろな問題も多かったようですが、今は経済が順調でそうした問題はうすれています。しかし、本当ならそんな程度ではすまないと思ったのです。それについて質問すると、その方の説明では、高い福祉制度があるから問題が起こりにくいのではないかということです。
 つまり、私たちが昔学習した、『ゆりかごから墓場まで』といった環境は、今もあるということなのです。出産費や医療費も無料ですし、教育費もほぼ無料です。ですので、日常生活で不満を持つ人はいても暴動が起こるようにはならないし、そうした社会的弱者へ配慮ができることがリーダーの条件でもあるようです。
 
 一方、勉学は厳しく、試験の結果は全て公開であり、入学時の成績は多少低くても入る事もできますが、ちょっと気を抜いただけでも出ていかなければなりません。
 こうした、社旗風土が根本からちがうことを痛感しました。