安倍総理の退陣表明には本当に驚きました。教育再生会議の最終報告に向け、相当の頻度で開くという話が聞こえていましたから。私もまさかと思いました。いくつかのマスコミから、コメントを求められましたが、正直なところ、まったく心の準備がなかったので、戸惑いました。
一般的な評価からすれば、代表質問の直前の辞任表明ですから、いい評価ができないのは当然でしょう。ただ、今まで教育という分野は、議論は華やかだけど、あまり腰を据えて突っ込んだ議論にならないのが通例でした。しかし安倍総理は、最重要課題と言い続け、何はともあれ国民的議論にしてもらいました。その点を私は評価しています。
不況が長く続いた期間、経済の活性化のために公共事業にはかなりの投資が行われましたが、その間、教育予算はじり貧状態でした。教育再生を旗印にした政権が作る来年度予算に期待も大きく、伊吹大臣や池坊副大臣も教育予算を増やすということに尽力されていました。また、民主党はじめ野党も教育重視の構えを持っておられたことや、新しい指導要領の内容が、かなりいい内容になってきていることもあり、他の分野の対立とは別のものとして教育分野の改革は進むという期待をしていましたし、それは今も変わりません。
また、安倍総理の退陣の理由の中に、教育を重視したということは入っていません。そうなると、私としてはどのような政権ができても、この教育を充実させる方向を持つことを最重要課題としていただくことを強く希望しています。
近くで見ている安倍総理というのは、心身の状態がそのまま顔色に現れる方でした。今、健康のことが取り沙汰されていますが、私も何回か、顔色が悪いなあと思うことが何度かありました。ただ、会議でお会いするということもあって、表情を崩されるということはなく、いつも凛とされていました。
余談ですが、今とかく話題にされる政治家ですが、私もいろいろな方と知り合い、本当にすごい人達だと思うようになりました。マスコミは権力を監視するのが仕事ですから、見方は厳しくなって当然ですが、私は同じ人間として考えた場合、あのエネルギ-や強さ、とても真似できるものではないなと思います。選挙というフィルタ-を突き抜け、国会に入るということは並大抵のことではありません。私は、政党を問わず、政治家をやっている人々をもう少し、尊敬して見ていきたいと思うようになりました。かつては、小渕総理や大平総理は在職中に亡くなりました。私たちには伺いしれない、総理にかかるプレッシャ-というものの存在を感じた今、きっと再生会議の委員ではなかったときとは違うものを私は感じていると思います。
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