私には、人生の転機となった3人の師匠がいます。
第一には、当然ですが、百ます計算の生みの親、岸本裕史先生。
だが、青春時代のどうしようもない私を「才能があるんだから。」強く励ましていただいた師匠がいます。
それは、放送局を目指していたころ、私にアナウンスを教えていただいた「河田玲右子先」です。
河田先生は、もともとは岡山の山陽放送の実力アナウンサ-で、退職後はアナウンスの塾を開かれ、その第一期生として入ったひとりが私だったのです。私のアナウンサ-志望は、本質的にはただのミ-ハ-な憧れでしかなかったのですが、河田先生に触れ、初めてプロというもの知ったのです。
努力も才能も関係ない。とにかくどう結果に結びつけるか、そのことを強く意識す ることの重要性を知らされたのです。厳しい先生でした。しかし、「あなたには才能あるんだから。」と言っていただき、もともと背も低く、コツコツ努力することが苦手だった自分に、すごい自信を与えていただいた先生でした。
その先生が昨夜亡くなられました。
実は、一カ月前に倒れられたことを聞き、お見舞いに行きました。
いつか、自分がアナウンスをしているのを聞いていただきたいと思っていたので、時間を調整して東京と広島の放送の収録CDを持って行って聞いていただこうとしたのです。
声は出ない状態でしたが、幸い意識はしっかりあり、耳元にスピ-カ-を持って行って聞いていただいたのですが、表情は喜んでいただいたのがわかりました。
最後に、口の形がありがとうと動いたのがわかったのですが、それが最後になりました。
岸本先生に続いて河田先生が亡くなられたことで、またしてもぽっかりと心にまたひとつ穴が空いた気がします。これからは、その恩にこたえて、自分がしっかりしないといけないと思います。
時間は残酷で、絶えず時代の姿を否応なく変えていきます。
河田先生のご冥福をお祈りします。
3人目の師匠の話はまたいつかお話しします。
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