陰山ブログ

新しい指導要領について

 中教審の教育課程部会がだいぶん進んできて、新しい指導要領の骨格となる原案が、ほぼ8割以上、固まってきました。
 会議の中では、台形の面積や、少数以下第2位の計算の復活などが話題になっています。そして、尾道市立土堂小学校で行われていること、すなわち、読み書き計算のモジュール授業を、日本全国の小学校で行うような内容が模索される内容になってきています。
 このような話題がある中で、特に私の興味を引いた内容があります。それは、“各学校が、独自の新しい提案を出してきたら、その内容を積極的に認めよう”ということです。以前から、“これからは現場主義を重視しなければいけない”ということが言い続けられていますが、それを現実化し、さらに一歩進んだ方向へと進んでいます。
 その会議の席で、たまたま私の隣に、日本PTAの会長さんが座られていて、その資料を読まれて、「陰山先生、学校独自の考えここまで認めると言うのは、学校間格差が出てきてしまうってことですよね?」と、おっしゃられました。私は、「その通りです。」と返答しました。
 実のところ、すでに今でも学校間格差は発生しようとしています。しかし、それを抑制しようとする傾向が強いのです。抑制することによって、差は出にくくなりますが、反面頑張って伸びようとする学校が伸びないという結果になっています。ですから、頑張ろうとしてる学校は抑制せず、前に出していこうということなのです。それによって、日本の学校全体のレベルアップにつなげていけるのではないかと思います。
 
 このように、新しい指導要領は、全体的に非常に骨太の内容になってきたな、と感じています。
 今後皆さんは、どのような教育をしていくのかということを情報として聞き、どのような教育をすべきなのか、あるいは、変えていくべきか、考えなければなりません。そのような案が土台となり、大変素晴らしい教育が出来る、自立的な学校制度がうまれてくるのではないかと考えます。
 指導要領など、学校に関する奥深いところについては、よほど意欲のある教員でなければなかなか注目しないところですが、大きな動きは始まっています。今後ともよく注目しておいてください。