※アトランタでの発表論文 ⇒ KageyamaMethod.pdf
アトランタでは私の実践発表を行いました。発表後には、アメリカの先生との交流会がありました。彼らからの相談にのってみると、その悩みというものが私たち日本の教師から出てくるものと似ており、思わず苦笑いをしたものです。「百ます計算をすれば良いですよ」、「早寝、早起き、朝ご飯も大事ですよ」というアドバイスにも皆、「その通りだ。百ます計算は面白そうだ」と非常に好印象を持ってくれました。
しかし残念なことに、その声が「百ます計算をやろう」という積極的なものにはなりませんでした。なぜなら、彼らの悩みと、私たちの悩みは似て非なるもので、根本的に大きなズレがあったからです。彼らの悩みとは、“小学校6年生に足し算をどう教えたらいいのか?”というものなのです。「百ます計算は、アメリカの子ども達にとって高度すぎる」とアメリカのある先生のは言っていました。
現在、“陰山メソッド”を英語入力し、googleで検索すると、数件ヒットします。そのうちの1つは、この発表に参加していた、ある西海岸の先生のサイトです。徹底的に私のことを調べてくれていて、うれしく思いました。そのなかで、“陰山メソッドは、典型的な集団教育なものと言うふうに錯覚をしていたけれど、論文を読んで、実はそうではない。ものすごく合理的、科学的だということがわかった”という内容のことを書かれていました。一方で、“9月からこれを実践してみたいのだが、どうしたらいいか?”とも書かれています。‘基礎的な計算に課題を抱える中で、どのように百ます計算を活用していくのか’、その答えを見つけ出すことが彼らの願いであるのでしょう。
教師の熱心さという点では、日本もアメリカも同じです。例えば、アメリカでは教師向けの研究会に、1万7千人もが宿泊を含めて自費で参加しています。しかし抱えている課題の違いの大きさには、正直戸惑いました。比較的楽観視していた海外との教育交流について、考えを改めなければならないようです。
そういう意味でも、このアトランタでの体験は、非常に大きなものでありました。
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